カテゴリ:泌尿器編

泌尿器編8 <秋冬に増えやすい泌尿器トラブルについて>

2022/01/28
秋・冬は膀胱炎のトラブルが増えがちです。

イヌ…というよりはネコ。

むしろイヌはそれほどトラブルが増える印象はありませんが、
ネコは明らかに秋冬に膀胱炎のトラブルが多くなります。

さらに雄ネコは結石による尿道閉塞も増えがちです。



膀胱炎は頻尿や血尿が主な症状です。

頻尿も
膀胱炎では排尿量が少なく、一度排尿すると立て続けに何度も排尿しようとする
ような症状で、
まとまった量の排尿を数時間以上の間隔を空けてするようないわゆる「排尿回数の増加」のタイプのものではありません。
これは飲水量が増えるような病気が原因の場合ですね。

厄介なのは尿道閉塞も膀胱炎と同じような頻尿の症状が出るということ。

膀胱炎は緊急性は低いですが、
尿道閉塞は緊急疾患です。

緊急ということは命を左右するということ。

なのでここの見極めはすごく大事です。
(見極めのポイントについては次回以降に。引っ張ります笑)




膀胱炎も結石も、なぜ秋冬に増えやすくなるかというと…

1、尿は刺激物だから
尿は皮膚などに付いたのを放置すると赤くなり、炎症を起こします。
粘膜は尿に対する抵抗力がありますが、
ネコの尿はそれを上回るくらい濃いのです。
若くて健康なネコほど濃縮した尿を生成するので若くても膀胱炎を起こします。
ちなみに、イヌの尿はネコほど濃くありません。
だから寒くなってきてもそれほど膀胱炎のトラブルが増えないとも言われています。


2、寒くなると飲水量が減る
飲水量が減れば尿は少なくなり、濃くなりますよね。
濃くなると尿の刺激性は増し、
さらに結石の元になる物質も濃くなるので結石形成が助長されます。


3、排尿回数が減る
尿量が減るので尿意も減る、
そのため濃い尿が長時間膀胱内に貯留することになります。
結石の素が長時間膀胱内に停滞すれば…ですね。
また、排尿は水洗トイレのように膀胱や尿道を洗い流す働きもあります。
基本的に外尿道孔からは絶えず細菌の侵入があり、細菌は膀胱に向かって侵入しようとしてきます。
雄は雌と比較し尿道が長いため膀胱まで到達することはそれほど多くありませんが、雌は尿道が短い上に肛門も近接しているので細菌感染のリスクが高く、菌が膀胱まで到達しやすくなっています。
イヌでは侵入してきた菌は膀胱炎をおこすだけでなく、結石形成に関与することもわかっています。
尿道を洗い流すため排尿の回数を確保することもやはり大事なことと言えます。


4、ストレス
ストレスはネコの膀胱炎の一因と言われています。
どんなことがネコのストレスになるかはまた別の機会に。
そしてネコは寒さに強くありません。
ストレスも一つ一つは大したことなくても、
色々重なってしまうと体調不良につながるということは現代人には容易に理解できるのではないでしょうか。
「寒さ」単体では大したストレスではないかもしれませんが、
日常でストレスがあるのだとすればそれが追い討ちになるということです。
動物もストレス社会に生きているということを忘れてはなりません。




以上のような点が秋冬に膀胱のトラブルが生じやすくなる要因と考えられています。

膀胱のトラブルが生じてしまったら状態に合わせて治療することが必要になりますが、原因を理解することが再発予防につながります。

おうちの大切な家族のため日常生活で気をつけられるところから改善してみましょう。

カテゴリ:泌尿器編

- Powered by PHP工房 -