カテゴリ:診療方針について

その他<当院での診察に対する考え方>

2021/12/16
「病気のはなし」ではありませんが、院長として南大和どうぶつ病院を開院し、約1年半経過した今、自分が感じたことを少し書き綴ってみたいと思います。

ご興味を持った方は少し読んでみてください。
長文なので悪しからず…


僕は大学を卒業した時点では動物病院を自分で開院したいと思ったことはありませんでした。

全く。
1ミリも。
開院するつもりなし(笑)

開院してみようかと思ったきっかけのひとつとしては、

日々診療をしている中で、
僕の診察は時間がかかりがちだったので、
「もっと時間を意識して診察しないといけない」、
「話すべきことを端的に伝えれば診察の回転が上がる」など、
診察時間を短縮するためのアドバイスをもらうことが多かったのですが、

一方で、
自分の中で話すべきことを最低限にしているつもりでも、
どれだけ削っても時間がかかってしまい、
診察時間の短縮を指導されることが何度もありました。

だって検査でお金をいただいているのにそれに対して説明少なくていいの?って思ってしまうし、

わざわざ動物病院に足を運んでくれるのに
交わす言葉も少なく、飼主さんが感じている不安や疑問について伺うこともなく診察が終わるのは
自分だったらいやだと思うし、

高校生の時父親にアルバイトしたいって言ったときに
「お金をもらうわけだからそれに見合う働きをしっかりしてきなさい」
って言われて育ってきたし。

端的に話を済ませて欲しい飼い主さんには空気を読んで端的に済ませる技術は必須だけど、僕のように考える飼主さんもいるだろう
など、その当時に勤めている病院が求める診療スタイルと自分が重要視したいことが衝突しているという感覚がありました。

そういう思いの衝突から
開業してみようかという思いがと沸々と湧きあがって、、、

僕のビジネスの師匠に「開業しようかと思う」と報告に行くと、
「誰のために起業するのか、どんな顧客のための病院を作るのかがはっきりしているのか?そのためにどのような土地で開院するのか考えてなければ失敗するぞ」と開院を考え直すように言われ、
何も言葉が出ない自分にふがいなさを覚えながら家路についたのを今でも思い出します。

でもやはり開業する方向性は変わらず、
「自分を必要とする飼主さんは絶対にいる」という確信が心の片隅にあり、
テナント探しは時間がかかると言われてるから「誰の為の開業なのか」考えながら開院準備しよー
なんて思ってたら、、、

今の物件と運命的な出会いがあり、
探し始めて2ヶ月かからず物件が決まり、

物件が決まるとあっという間に開院準備が進み、
4ヶ月後には新規動物病院開院となりました。

考えをまとめるヒマがない(笑)

一応、ずっと頭の片隅で「誰のため…」と呪文のように唱えながら過ごし、
もう開院。


開院して翌日にコロナによる緊急事態宣言が発令され、
待合室での混雑解消のためのアプローチをしなければならない環境も相まって、
一家族30分の枠で予約優先制の診療スタイルで診療を開始したところ、
無駄に待合室で飼い主さんを待たせることがなくなり、
その上、一人ひとりの飼主さんときちんと話をする時間が確保出来る…

すごくいい


そこでようやく自分が「誰」のために動物病院をやりたかったのか、

なぜ「誰」なのかはっきり答えられなかったのに自分を必要としている人がいると思えたのか、

はっきり見えるようになりました。

「動物の病気を理解し、納得して治療に向き合いたい飼い主さん」
のための動物病院が僕が作りたい病院の形で、
世の中にはそういう動物病院は多くはないからニーズがあると。


お陰様でこの2ヶ月くらいは予約枠が平均80〜90%埋まり、曜日によっては120%くらいになることもあり、
来ていただいている飼主さんからも当院の診察スタイルに好評頂けることも多くあるように感じております。

枠が100%を超えるときはいかに飼い主さんをお待たせせずに診察に案内するか考えないといけない事態にはなるので、
やはり、自分の話のどこがその飼い主さんにとって必要で、どこが不要かを考え続けないといけないのは開院しても変わらずありますが、
しっかり大事にしないといけない根っこの部分の考え方が定まっているので迷いは少ないです。

いくら飼主さんの思いに寄り添うことが出来ても診断や治療がでたらめではいけないので、
そちらに関してもこれからも知識のアップデートに努めていかなければなりませんし、

獣医師が違うと対応が異なってしまうのでは飼主さんに迷惑がかかるのでスタッフ間での病院の診療方針をしっかり共有することも大事にしていきつつ、

何年たっても初心を忘れず、
誰のために自分があるのかを意識しながら進んでいきたいと思っています。

2021年も飼主さんやスタッフに支えられた1年でした。
引き続き2022年もどうぞよろしくお願い致します。

カテゴリ:診療方針について

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