歯科編1 <無麻酔での歯石除去について>

2021/05/20

高齢で麻酔のリスクが高いから歯石だけドッグサロンでとってもらっています

こういう飼い主さんが時折いらっしゃいます

当院では、
無麻酔でのスケーリング処置を飼い主様にお勧めすることはありません。

無麻酔での処置はお勧めすることはありません。

大事なことなので2回言いました。

飼い主様が歯石除去の処置をしたい理由はなんでしょうか。

歯石がついてきたから
口臭が気になるから
歯茎が赤く腫れてきているから
…など、色々な理由があるかと思います。


獣医師の立場でスケーリング処置の目的を端的に挙げるとすれば

「歯の表面と歯肉溝の汚れを取り、歯周病の進行を抑えること」

です。

特に歯と歯茎の間の歯肉溝に歯周病菌が溜まりやすく、そこを綺麗にせず歯の表面の歯石だけを取っても歯周病の進行は抑えられません。

歯肉溝はとても敏感な部位です。

歯石の除去をするための器具は鋭利なものが多く、それで歯肉溝を処置することは拷問に等しい行為です。

歯周病が進行した状態で力をかけて歯石を除去しようとすれば歯や顎の骨が折れることもありますし、
その他にも、歯石の除去後は歯の表面に微細な傷が生じ、それを放置すると新しい汚れが付着しやすくなってしまうため、歯の表面の研磨も重要です。

さらに言えば歯科処置はやったら終わりではなく、その後どう管理するかが重要でもあります。

歯医者さんでも虫歯の治療が終わったら半年後の再診を勧められますよね?
これは日常生活できちんと歯のケアができているか確認するためです。

毎日歯磨きをする習慣があるヒトで半年後のチェックということは、
動物では。。。???


確かに麻酔処置は100%安全というものではありません。
高齢になれば尚更麻酔によるリスクというものは高くなります。
なので術前検査で麻酔をかけることが高リスクであると判断されればスケーリング処置を断念せざるを得ないこともあります。

かといって麻酔が高リスクであるためなんとか見える歯石だけ取ることでは上記のように歯周病の進行の観点からは焼け石に水ですし、
そんな高リスクの動物に強いストレスと顎の骨折のリスクを負ってまで
無麻酔でのスケーリング処置をすることに僕はメリットを感じません。




皆さんのご家族であるワンちゃん、ネコちゃんの口にとって
どのような対処が良いのか、どのように管理すると良いのか、ぜひご相談に乗らせてください。
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